本研究の目的は、英語母語話者は『日本語を習得すると認知変化が生ずるか』を調査することである。着想に至った経緯は、『英語を習得した日本語話者の認知変化が明らかになった』ことに起因する(基盤研究(C)90352450)。今回はその逆パターンである、英語母語話者も『日本語を習得すると認知に変化が生ずるか』を調査した。調査の結果、日本語を習得した英語母語話者にも思考に変化が起き、母語のみを話すモノリンガル話者とは異なる考え方を保持する確証を得ることができた。一連の研究の背景には、言語は思考に影響を及ぼすというテーマが存在する。日本語話者は日本語という言語が持つ性質によって考え方を決定され、英語話者は英語という言語の性質によって考え方を決定されるという理論である。では、日本語と英語の二言語を話すバイリンガル話者はどのような思考過程を保持するかを追求した結果、母語のみを話すモノリンガル話者とは異なることが分かった。つまり、第二言語を習得することで認知レベルが影響を受けることが明らかになった。
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