研究概要 |
初年度にあたり、学習項目の選定とシラバスの制定を当面の目標に据え作業を行った。まず、本検定試験の目的を明確化するために、主にベトナム語教育を行う機関、及びベトナム関連諸団体を対象にどのような形態・内容の検定試験が必要とされるかの調査を実施した。特に、既にレベル別教科書の編纂経験を有し、検定試験の必要性について従来議論を続けてきたホーチミン市国家大学(人文社会科学大学)ベトナム学部、並びにハノイ大学ベトナム学部である。 教育・訓練省が定める評価枠A~Cを基礎に据えつつ、その「内容を再度詳細に分析し、検定試験の枠組みとして利用可能な部分の見極めを行った。当該評価枠は、A,B,C各レベルが更に2段階に分けられA1~C2の6段階が設定されている。それら各段階に対し、「到達目標」と「学習内容」が「技能面」、「知識面」それぞれに対し4技能毎に示された詳細な枠組みとなっているが、一見して明らかな問題点として、1.ベトナム人母語話者を対象としており日本の事情に合致しない部分がある。2.「技能面」枠にも文化知識に関する事項等、本来「知識面」に含まれるべき内容が含まれており、全体として内容ベースの枠組みである点等が挙げられる。それらの問題点を日本人学習者向けに修正する第一段階として、まず日本人にとって比較的習得が容易な漢語起源要素の位置付けを考慮した枠組みの制定について考察した。また、従来のレベル別教科書に掲載されている語彙リストの利用許可を著者に請い、それら電子化、今後の利用に便利な形に改変した。
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