最終年度に当たり、これまでの作業(語彙集、文法事項、機能別学習事項の選定)を基礎に、実際の学習内容の選定とシラバス案の制定を行った。シラバス案の制定では、実際の試験を行った際に参加可能な機関と採点等に協力可能な人材が限られることが予想されることから、まずは文法・語彙に関するシラバスに限定することとした。実際の試験においては、大学及び関連諸団体で行うことになろうが、比較的多くの学習者数が確保できる入門・初級レベルに限定し、そこの学習者を想定したシラバス案を作成した。シラバス作成方法については、『日本語テストハンドブック』(1991、日本語教育学会)等を参考に、問題構成、難易度の妥当性等について可能な範囲で考察を行った。 作業の各段階において、常にベトナム本国との連携を図ることが肝要と考えた。したがって、ベトナム本国の教育・訓練省が、2006年の段階で独自に定めた海外在住ベトナム人のベトナム語能力評価枠(教育・訓練省決定:26/2006/QD-BGDDT)が既に存在することに注目し、それとの連携を常に意識しつつ作業を実施した。それは、まず、最終的にはベトナムが主体となり検定試験が行われることが理想と考えることと、教育・訓練省への提言を行う上でも、ベトナム国内の動向を踏まえておくことが重要であると考えるからである。この点については、既にレベル別試験を実施しているホーチミン市人文・社会科学大学ベトナム学部に協力を仰ぎつつ、最終的な形態を定める基礎となるシラバス案を作成した。
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