研究課題/領域番号 |
22520563
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岸田 泰浩 大阪大学, 日本語日本文化教育センター, 准教授 (40273742)
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キーワード | アルメニア語 / e-ラーニング / 電子辞典 / コーカサス / evidentiality |
研究概要 |
平成23年度は、前年度に構築したデータベースを学習教材という観点からさらに整備した。それと並行して、アルメニア語の特徴を考慮に入れ、これまでに公開された参照可能な種々のe-ラーニングシステムを参考に個々の課でどのようなセクションを設けるべきかを検討しながら、教材と辞書のデザインを考案した。また、電子辞書の編纂に際しては、語彙の情報をどのように排列するのが学習者サイドにとって使いよいかに重点を置き、後にクロスレファレンスの機能を付加することも念頭に入れ、全体的な構成策定に取り組んだ。この過程でいくつかの文法項目や語彙項目について具体的なサンプルを作成し、より適切な形になるように調整をおこなった。この点に関しては必要な改良を加えるとともに、対象とする項目を増やしながら、次年度前半も作業を継続する。 アルメニア文字の取り扱いは、本研究の課題の一つである。幸い、最近は、Unicodeに準拠したアルメニア文字フォントがフリーウェアの形でインタネットから入手可能になった。これら多種多様な書体のアルメニア文字フォントをe-ラーニング教材においてどのように活用することができるかについてシステム面およびライセンス面で調査を行った。 文献収集や教材用のマルチメディア資料を得るためにアルメニアへ出張し、その際、首都イェレヴァンで開催されたIranand the Caucasus Amiversary Workshopにも参加し、関連分野の知見を深めるとともに、セッションのひとつで司会を務めた。 教材と辞書の間で設けるつもりのクロスレファレンスについては、試行錯誤が必至と予想されるため、教材を充実させていく際に修正を加えていく段階を経ることが不可避である。そのため、本年度は個別具体化するまでには至らなかったが、文法項目や語彙項目の整理が進んだことでその方向性は明確になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教材と電子辞書等のクロスレファレンスについてはさらに具体化する必要があるが、文法項目や語彙の整理やデータベース化の個別的作業は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
前半期は、初年度から構築してきた文法・語彙のデータベースの中から重要なものを抽出し、学習教材という視点から整理し、互いに有機的に関連づける方策を考えながら、統一的な総合的教材をデザインする。また、教材に使用する例文や練習問題の文法性チェック、および、音声教材作成のために言語コンサルタント(アルメニア語母語話者)の協力を得ることにより言語教材としての質を高める。初学者にとってアルメニア語学習の壁となる文字については、多様な書体・フォントを教材内でどのように提示して学習者に馴染ませるのが適切であるかを検討しながら、e-ラーニングの特性を活かした方法を考案する。後半期には、本研究課題の最終的な成果を取りまとめ、教材のサンプル版を作成し、研究報告とともに公開したい。
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