平成26年度は、人間の学習モジュールにおいて、これまでに得られた研究結果に基づき、母語(L1)に冠詞を持たない学習者の第二言語(L2)としての英語冠詞習得プロセスにおいて、習得(あるいは学習)に与する状況や要因がどのようなものかについて、またその探求方法について検討した。 H25年度の研究で着目した特定性や目新しさ(noteworthiness)といった意味に関する素性を組み合わせて6つの言語的条件を設けた。それらの言語的条件に応じて、L2習熟度が異なると、学習者の冠詞選択の正確さ、確信度(冠詞選択の正確さについての自己評価の正しさ)、反応時間がどのように変化するのかについて検討した。その結果、L2習熟度は特定の言語的条件下において冠詞選択の正確さに有意に影響を及ぼしており、またL2習熟度は特定の言語的条件下において、確信度に有意に影響を及ぼしていた。なお、反応時間の影響については明確な結果が現れていない。 機械学習のモデルにおいては、HMMを用いて、人間の行動パフォーマンスデータからその特性を引き出し、実験参加者の属性を訴求する研究を行った。一部の属性について非常に高い正確さで分類することができたことから、研究方法として評価できると言える。 これらの人間の学習のモジュールと機械学習のモジュールの研究結果については学会発表および論文として既に発表しており、また両モジュールを統合した研究結果について今後発表の予定である。
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