研究概要 |
本研究の目的は、「日本人英語学習者の語用論的能力を発達させるために、有効な教授法はどのようなものか」を研究テーマとして、学習者の語用論的能力の発達過程をより詳細に記述をした上で、語用論的能力の指導モデルを構築し、各発達段階に有効な教授法を明らかにすることである。平成22年度においては、「英語学習者の語用論的能力と動機付けの関連」について継続して検討を行った。 田頭・大和・磯田(forthcoming)では、Bardovi-Harlig and Dornyei(1998)の研究を基に、学習者の動機づけ要因が語用論的意識に及ぼす影響を、学習者の動機づけプロファイリングから考察した。その結果、より自律的である学習者ほど、語用論的誤りへの気づき度が高いことが明らかとなった。換言すれば、より自律的である学習者ほど、形式へのnoticingから、語用論的内容を含めたunderstandingへの意識の移行(Schmidt,1995)がなされていると示唆される。さらに、大和・田頭・磯田(2010)では、学習者の動機づけ要因に加え、学習者の習熟度も合わせた上で、語用論的意識への影響を検討した。その結果、同様の結果が示されたが、習熟度に関しては、必ずしも習熟度が高い方が、語用論的意識が高い訳ではないことが明らかとなった。 これらの結果を受け、次年度以降は、教授法の更なる検討と、測定方法の観点の検討に入る予定である。
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