平成22年度の主要目的は、教室英語力の使用・育成に関わる(1)文献調査と(2)現状分析を中心に理論的考察を進めると同時に、(3)小学校教員と中学校英語科教員に求められる教室英語力、および(4)英語力と教室英語力との関係を明らかし、それらの結果をもとに(5)教室英語力スタンダードを構想することにあった。結果としては、文献調査に予想以上の時間を要したため、文献調査にもとづく理論的考察を中心とした、関連文献および基礎資料・教材の収集と、教室英語使用の現状に関するデータ収集が研究活動のおもな実績となった。具体的には次の通りである。まず、(1)文献調査については、教師教育、授業研究・談話分析、第二言語習得研究に関する文献を収集・読み込み、同分野における最近の傾向や教室英語との関連性についての理論的考察を進めた。同時に、教室英語力育成支援ツールを開発するための基礎的な情報を得るために、教室英語力や英語力の育成のためのさまざまな資料(教材、DVDソフト等)を収集した。次に、(2)教室英語使用の現状を把握するために、徳島県の公立小学校、中学校、高等学校の教員を対象にアンケート調査を実施した。現在そのデータ分析を進めている。また、(3)小学校教員と中学校英語科教員に求められる教室英語力については、上記アンケート調査の結果をもとに抽出し、その成果を平成23年度に公表予定である。そして、(4)英語力と教室英語力の関係解明のために、英語力標準テストにもとづく関係解明の妥当性を検討するのと同時に、英語科教育コース実習生の英語力標準テストのスコアと実習授業(教室英語使用状況)の映像を収集した。さらに、(5)FORCE(教室英語力の枠組み)に修正を加え、小学校用と中学校・高等学校用の教室英語力スタンダード暫定版を作成した(上記(3)のアンケート調査の質問項目は同スタンダードをもとに作成された)。
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