研究概要 |
研究手法確立の年で会った昨年度の反省より、作動記憶効率化訓練にRead and Look-upを追加し、コミュニケーション的な要素を加えた。また、教材の難易度が学生に合わなかったため、更に容易な別の書籍から音声を利用し、コンピュータ理工学専攻の1年生に対し、英語の授業の冒頭20分間に作動記憶効率化訓練を実施した(全11回)。本テストで録音された音声は、研究で利用されることを説明し、学生は同意した。自発発話に対する効果は、英語のsemi-direct speaking testを学期の最初と最後にpre-,post-testとして実施し、測定した。録音された音声は、4名の書き起こし・タグ付担当者によりテキストに起こされ、音声分析ソフトを使って、speech rateも測定した。前期の結果では、学生は、多くの量を長い文章を使って話すようになった。また昨年度は、Speech rateの向上は見られなかったが、前期は有意に向上した。正確さは変化が見られなかった。 後期は、実験群(27名)と対象群(19名)を設定した。実験群のクラスでは前期と同様に作動記憶効率化訓練を実施した。またインタビュー型テストも実施したが、受験人数が少なかった。実験群・対象群と、pre-,post-testで有意な交互作用が見られたのは、複雑さと流暢さを表す以下の尺度である:Speech rate,1秒当たりのシラブル数、語彙数、構文的複雑さ。毎回、semi-direct testは設問が変わるため、単純に発話の量が増えたことやSpeech rateが上がったことが、作動記憶効率化訓練によるものとは結論付けられないが、対象群との交互作用を比較することで、設問の影響は最小限に留めることが可能であり、今年度の結果は、作動記憶効率化訓練が、自発発話における流暢さと複雑さを促進することの、更なる根拠となりうる。
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