研究概要 |
昨年度の研究成果として新たに開発されたAccuracy, Communicability各4種類の評価タスク(新タスク)およびオリジナル・タスク(旧タスク)の平行形式信頼性について、古典的テスト理論によるテストデータの分析やFACETS 分析により検証を試みた。その結果として、1) 古典的テスト理論による分析 (相関係数) およびFACETS 分析の両者において、新旧タスクの評定結果には平行形式信頼性が認められた、2) 分散分析 (ANOVA) により、評価タスクと全体的印象による評価には有意差が認められた、3) FACETS 分析において、旧タスクの困難度は異なるが、新タスクのそれは同等であった、5) タスク・タイプ別のFACETS 分析においてには、Accuracyタスクの困難度は異なるが、Communicability タスクのそれは同等であることなどが明らかになった。上記1) ~5) の調査結果は、2種類の評価タスクによる評定結果を合計したセット・データにおいては困難度に差違は認められないが、個々のタスク・レベルにおいて、Accuracyタスクの困難度が異なると総括することができる。その理由について考察したところ、評価タスクにおける「指示」の違いがライティング・パフォーマンスに影響を及ぼした結果、タスクの困難度に違いが生じたという結論づけに至った。この結論は、外国語としての英語学習者にとって、「指示」の言い回し・表現は非常に強い影響を与えるものであることを改めて裏づけるものであり、今後のタスク開発において、「指示」の工夫を行うことが、タスク困難度調節の1つの変数と成り得ることを示唆するものと言える。
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