研究概要 |
24年度は、日本人英語学習者による結果構文と受動構文の習得の比較研究(実験2)を行った。結果構文と受動構文の両方の項目を含む文脈を伴う文法性判断タスクを実施した。現在実験データを分析中である。結果構文に関して、日本人英語学習者は「弱い」結果構文 (e.g., I painted the wall red) のみを容認し、「強い」結果構文 (e.g., The horses dragged the logs smooth) を容認しない段階から、習得が進むにつれて、両タイプの結果構文容認する段階に移行すること - つまり、L1で可能な項構造の現れがL2より狭い場合は肯定証拠により学習可能であること(仮説2)- が支持されれば、第二言語習得の成否はL1転移と学習可能性の見地から説明できるという主張の新たな証拠となる。受動構文に関しては、すでに23年度に実施した実験1で日本人英語学習者は、日本語のみで可能な間接受身の過剰般化 (e.g., I was stolen my bike) を起こし、この現象は上級レベルでも消えくいことを支持する結果を得ているが、実験2で、同じ日本人英語学習者グループ内で、結果構文は習熟度の増加とともに「強い」結果構文の習得も進むのに対し、受動構文は習熟度が増加しても間接受身の過剰般化が消えにくいことが示されれば、仮説1と仮説2がさらに強固な形で裏づけられたことになる。 まとめると、実験2で仮説に沿った結果が出れば、第二言語習得の成否はL1転移と学習可能性の見地から説明できるという主張が新しい領域で、新たな視点から裏づけられたと言えよう。
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