近年、公立学校教員採用試験(2次試験)において、各都道府県市や文科省のホームページ等で実施方法や評価基準など公開され始めている。このことは受験者にたいして説明責任を果たしつつあることを表しているが、中・高英語科において実施されるパフォーマンステスト(模擬授業)に関して統計的には研究されてない。これは本当の意味で説明責任を果たしているとは言い難い。本研究は教員採用試験の2次試験で実施されている模擬授業の妥当性・信頼性を研究し、評価方法の開発を行うことを目的する。つまり実証的にデータを分析し実用的な評価方法を構築する。上記で述べた問題点を踏まえ昨年度は以下に2つについて研究課題を設定した。 (1) 模擬授業の評価者はどれくらい信頼できるのであろうか? (2) 模擬授業を評価する場合教員はどのような評価項目を必要だと思っているのか? (1) に関して、実際に受験者に模擬授業を実施し、評価者3人がその模擬授業を評価し、ラッシュ分析法で分析した。主な結果は評価者の信頼度は高いが、それぞれ独自の厳しさで評価していることがわかった。このことは評価者が違えば、受験者は違う点数を与えられるという示唆が得られた。実際、評価者3人が選んだ上位5人の受験者とその点数はすべて違うという結果であった。(2)に関して現場の教員にどのような評価項目が必要であるかアンケート調査を実施した。延べ依頼学校数は約450校であった。その結果、多くの先生が重要であるという評価項目は(教師の資質・授業の構成力・指導力・英語の専門性)などであった。 今後はアンケートで得られた結果(評価項目)を用いて評価者がどのような過程で模擬授業者に得点を与えるのかを研究する。
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