研究課題/領域番号 |
22520580
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
秋山 朝康 文教大学, 文学部, 准教授 (20383218)
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キーワード | 応用言語学 / 言語テスト / 教員採用試験 / パフォーマンステト / バイアス分析 |
研究概要 |
近年、公立学校教員採用試験(2次試験)において各都道府県市や文科省のホームページ等で実施方法や評価基準など公開され始めている。このことは受験生に対してある程度情報公開していることを示しているがまだ説明責任を果たしているとは言えない。つまり、どのような点数で合否に至ったのか、またテストそのものの妥当性や信頼性についてはどの教育委員会も明らかにしていない。受験生の人生を左右するテストにおいて、また、未来の教育を担っている採用試験であると考えるとまだ説明責任を十分に果たしているとは言い難い。本研究は教員採用試験の2次試験で実施されている模擬授業を使用したテストの妥当性・信頼性について研究している。研究課題は以下の2つにまとめられる。 1)模擬授業の評価者(指導主事・管理職・ベテラン英語教師)はどれくらい信頼できるのか? 2)評価者はどの程度公平に受験者を評価しているのか(偏り(バイアス)評価はあるのか)? 上記の研究課題をもとに、延べ120人が模擬授業をし、評価者6人で評価した。評価項目は各教育委員会が公開しているものとアンケートで得られた評価項目である。1)に関しての研究結果は「各評価者は安定的に評価をしているがそれぞれ厳しさに違いがあるため受験生にとって不公平になる可能性がある」ということであった。さらに研究課題2)では、厳しい評価者と易しい評価者がある受験者を評価した場合、受験生の結果(合否)が異なる可能性があることを見出した。さらにそのような可能性がある評価は約20%に達していることが判明した。このことは教師を採用する側も採用される側にも重要な結果をもたらす可能性がある。次年度の貴重な研究課題が明らかになった。さらにこの点に絞り研究を進めていくつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
採用試験の模擬授業について評価者の信頼性や妥当性についておおむね計画通り進んでいると思われる。 データ収集やその分析もおおむね順調にいっている。最終年度の、今年度は分析結果を学会やジャーナルで発表していく。
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今後の研究の推進方策 |
2年間の研究成果から最終年度の研究課題として、以下の研究課題を設定し進めていく計画である。 「なぜ評価者は同じ模擬授業を評価しても異なる評価をしてしまうのか。」このことを実施するためにThink-aloudprotocol(TAP)を用いて評価者がどのように実際に評価しているのかを研究する。このことは、評価項目の精選や評価スケールの改善につながることを期待する。
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