公立学校教員採用試験(2次試験)において各都道府県市や文科省のホームページ等で実施方法や評価基準など公開されているが、説明責任を十分果たしているとは言えない。つまり、何点で合否に至ったのか、またテストそのものの妥当性や信頼性についてはどの教育委員会も明らかにしていない。本研究は教員採用試験の2次試験で実施されている模擬授業を使用したテストの妥当性・信頼性について研究した。今年度は特に評価者に焦点を当てて分析した。40人の受験者の模擬授業を録画し、評価者4人で6つの評価項目を用いて分析した。主な結果は1) 評価者の信頼性(一貫性)は高いものの、それぞれ独自の厳しさで評価をしている。2)それぞれの評価者は受験者にたいして「異常な偏り」(評価のブレ)が約20%以上あった。3)最も厳しい評価者と易しい評価者がある受験者を評価した場合、最大50%以上の差があった。以上の結果から、誰に評価されるかによって受験者の合格が左右される可能性は排除できないことがあきらかになった。また、評価項目として採用試験で使用される「授業の構成力」は評価者によって解釈が様々にあり評価がブレル傾向がみられた。 上記の結果から、「評価者は受験者の模擬授業をみてどのように評価をしているのか、また、なぜ評価者が偏りのある評価をしてしまうのか」を研究する必要があると結論づけた。採用試験の2次試験は教員を採用するかしないかの判断に直結する問題であるので、さらに詳しく評価者の評価過程について研究することが必要である。
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