研究課題/領域番号 |
22520590
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研究機関 | 新潟青陵大学 |
研究代表者 |
木村 哲夫 新潟青陵大学, 看護福祉心理学部, 教授 (90249095)
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キーワード | アイテムバンク / 能力記述文 / CAT / 項目応答理論 / Moodle / 等化 / 英語テスト / 協同作業 |
研究概要 |
1.前年度β版を完成させたRaschモデルに基づくCATのアルゴリズムMoodle-UCAT(UCATという1987年にM.Linacre氏によってBASICで開発されたプログラムを書き換えてMoodle上で動作するようにしたもの)を、国内外の学会で発表した。イギリスに本部を置く語学学校Kaplan International Colleges、中国とアメリカの大学の研究者それぞれ1名からプログラムについての照会を受けた。Kaplan International Collegesとは今後共同開発することも含めて競技中である。平成24年度前半にこのプログラムの基本的な部分を、研究開発サーバー等におき自由にダウンロードして使えるようにする準備を進めている。 2.潜在ランク理論に基づくCATアルゴリズムの提案を日本テスト学会で行い、学会論文発表賞を受賞した。提案したアルゴリズムに基づきシミュレーションを行い、シミュレーションから終了項目数を判断し、実際に潜在ランク理論に基づくCATを大学1年生の英語授業の課題の一部として実施し、その結果からアルゴリズムを再考するとともに、現有のアイテムバンクの弱点と今後の研究課題を整理した。平成24年度中に学術論文として発表する予定。 3.能力記述文との対応付けについては、英検のCan-Do Tableの記述文について、大学生に自己評価させた結果を分析し、ごく一部を除いてその困難度の評価は安定していることを示せたが、英語テストの得点との結び付けは、学習者が自己を過小評価する傾向にあるか過大評価かする傾向にあるかによって異なる様相を示すので、慎重な対応づけが必要であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教員・学校間の協働作業により小規模なCATを実施するアイテムバンクはほぼ整い、CATアルゴリズムとそれをオープンソースLMS(Moodle)で実行するプログラムの開発も進んでいるが、能力記述文との対応付けについては、自己評価に基づく限り過大(過小)評価の問題をどうするかが未解決である。
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今後の研究の推進方策 |
テスト結果と能力記述文との対応付けについて、学習者が自己を過大(過小)評価する傾向についてもう少しデータを集めて慎重に検討する必要があるとともに、自己評価によらない方法も検討する必要がある。Moodle上のCATプログラムは、Moodleのシステム本体の大規模な変更(バージョンアップ)が相次ぎ、その変更に時間を要しているが、海外の語学学校(Kaplan International Colleges)との共同開発により、その点を補える可能性が出てきたので、積極的に共同開発に取り組みたい。
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