前年度、β版を公開したMoodle上で実施するRaschモデルに基づくCATプログラムMoodle-UCATの問題点を改良し、Moodleのバージョンアップ(Ver.2.3)への対応を行った。これまでに完成した3種類のアイテムバンクのうち、英語文法語彙(アイテム数258)と英語リスニング(アイテム数308)のアイテムバンクを使って、実際に大学1年生を対象に、このプログラムを使ってCATを実施し、アイテムバンクの検証を行った。その結果、各アイテムバンクの項目の使用頻度を分析することで、アイテムバンクの改善すべき点を明らかにできることを示した。これらの成果については、日本教育校学会、ならびにPacific Rim Objective Measument Sympsium 2012 China で口頭発表を行った。 前年度、日本テスト学会の口頭発表において提案した潜在ランク理論に基づくCATアルゴリズムについて、シミュレーションと実データによる昨年度までの研究成果をまとめ、日本テスト学会誌に論文として発表した。また、潜在ランク理論に基づいてアイテムバンクを構築する場合に、どのような基準で項目除去を行ったらよいかについての提案を、日本テスト学会において口頭発表を行った。 CATの結果と能力記述文との対応付けについては、前年度の研究を継続させたが、学習者が自己を過小評価する傾向にあるか過大評価かする傾向にあるかによって異なる様相を示すことに変わりはなく、対応付けは、各項目自体にあらかじめ能力記述文との対応付けしないかぎり非常に困難であることが示唆された。このことについては、日本言語テスト学会で口頭発表を行った。
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