研究課題/領域番号 |
22520595
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研究機関 | 東海学園大学 |
研究代表者 |
津田 早苗 東海学園大学, 人文学部, 教授 (80082361)
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研究分担者 |
村田 泰美 名城大学, 人間学部, 教授 (70206340)
岩田 祐子 東海大学, 外国語教育センター, 教授 (50147154)
大塚 容子 岐阜聖徳学園大学, 外国語学部, 教授 (10257545)
重光 由加 東京工芸大学, 工学部, 准教授 (80178780)
大谷 麻美 京都女子大学, 文学部, 准教授 (60435930)
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キーワード | 会話分析 / 語用指標 / 国際標準英語 / あいづち / 発話量 / 自己開示 / 話題展開 / 聞き直し |
研究概要 |
本研究は英語能力が高くても日本人が会話に参加できないのは、英語文化を反映する語用論的相違が原因であるという仮説を検証するために英・米・豪の英語に共通する国際標準英語としての語用指標を記述し、日本語会話との違いを明らかにすることである。語用特徴として自己開示・話題の選択と転換方法・発話量・質問と聞き直し・あいづちなどを分析対象とする。23年度は、前年度に収録した英・米・豪の会話との比較データとして日本語母語話者による日本語の会話を収録し、分析を開始した。会話データは前年度と同様に専門の業者により作成されたスクリプトを6名の研究者が手分けしてチェックし、ほぼ毎月行う研究例会で、分析方法の統一をした上で、それぞれの分担する語用特徴の分析を始めた。これまでの分析から明らかになったことは、英・米・豪の会話は発音や話題は当然異なるが、語用に関する特徴は変種間の相違よりも共通点の方が多いことである。初対面の会話でありながら自己開示を進んで行い、できるだけ平等に発言をし、一方的な発言にならないように相互会話に配慮する点、会話維持のために質問、あいづち、聞き直しなどが用いられることが指摘された。1年半のこれらの分析結果について3名が英国マンチェスターのIPrA(国際語用論学会)で発表し、全員が第50回JACET国際大会で話題の展開・発話量・話者交代の仕組みなどの会話の構造面、自己開示・あいづち・聞き直しなどの会話の方策や内容面の2班に分かれてシンポジウムを開催し、これまでの分析結果を発表した。これらの研究成果は経過報告ではあるが、それぞれのメンバーがこれまでの分析から得た結果について研究論文の形で発表をした。英・米・豪の初対面会話を現地で収録し、同様な条件で収録した日本語の会話と比較することにより、両言語の語用の違いに新しい知見をもたらすと信じている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目にイギリス、アメリカ、オーストラリアで会話を10件ずつ計30件収録し、2年目に日本語の4人会話を10件、2人会話を6件収録し、研究データは予定どおり収録できた。英語会話の分析結果について海外および国内の学会で発表を行うことができた。しかし、英語会話の分析に予定していたよりも時間がかかり、日本語会話の収録が年度後半になってしまい、両言語の会話の詳細な比較には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度24年には日本語・英語母語話者間の英語の異文化間会話のデータを収録し、英語会話と日本語会話の対象分析と併せて日本語話者が英語で会話を行う際に直面する語用面の困難を調べ、その対応策の提案を目指す。6名の共同研究者は業者に依頼したスクリプトを分担チェックし、細かい発話情報を記入し完成させ、それぞれの分担の語用項目について分析を行う。ほぼ毎月行われる研究会でお互いの分析結果を報告し、海外および国内の学会において分析結果を報告する。あわせて、「英語会話ができる日本人」について語用面からの提案をまとめ、ワークショップ開催への準備をし、今年度後半に開催する予定である。分析の完成時期によってはワークショップの開催、教材の開発は次年度以降に行う場合もある。
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