研究概要 |
平成23年度は、「物語創作タスク」と「物語再生タスク」の2種類の作文タスクを用いて、方略的プランニングの使用が、作文に関する3つのプロセス:内容構成(Formulation),筆記(Execution),モニタリング(Monitoring)の中でも、特に「内容構成」と「筆記」のプロセスにどのような影響を与えるかを検証することを目指した。具体的には、創作タスクに対しては内容構成プロセスに焦点を当てた方略使用を促し、再生タスクに対しては筆記プロセスに焦点を当てた方略使用を促し、その影響を検証することにした。 1.研究目的:「物語創作タスク」と「物語再生タスク」2種類の作文タスクを用いて、異なるタスク遂行条件(使用方略の指示の有無)がタスクの結果に及ぼす影響を検証する。 2.参加者: 関西地区の私立大学に学ぶ英語専攻の学生40名。 3.作文タスク: 物語創作タスク(4コマの絵を見て物語を創作するタスク)と物語再生タスク(4コマの絵と物語展開を与えられその展開を再生するタスク)。2つのタスクには、異なる絵を使用したが、予備調査で物語の創作・再生に関して認知的難易度が同程度になるよう調整した。 4.分析: 調査で得られた実際の作文の評価は「流暢さ」「正確さ」「複雑さ」の3つの観点から量的分析を行なった。また作文直後に実施する質問紙により、参加者がタスク遂行時に考えた内容に関するデータを収集し分析の参考とした。 その結果、1.内容構成に関する方略を指示した場合、創作タスク・再生タスク共に有意なパフォーマンスの向上は見られなかった。2.筆記プロセスに関する方略を指示した場合、再生タスクに関しては有意なパフォーマンスの向上が認められた。3.学習者の言語習熟度やタスクに関する興味関心の度合いなどにより、使用方略の効果に差が生じる可能性が示された。
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