研究課題/領域番号 |
22520600
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研究機関 | 京都文教大学 |
研究代表者 |
陸 君 京都文教大学, 臨床心理学部, 教授 (40351374)
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研究分担者 |
田浦 秀幸 立命館大学, 言語教育情報研究科, 教授 (40313738)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 英語教育 / 小学校英語教育 / 英語教員の養成 / 英語教員の力 / 教育実習 / オール英語の授業 |
研究概要 |
1)9月の一週間、上海師範大学の師範専攻3・4年生を中心に、教育実習の様子を見学し、小中高校英語教員を目指す学生の実習の様子を調査した。 ①第四中学校にて、師範専攻三年生(女)による―中14班クラスの英語の授業を見学した。使用教科書はOxford English Shanghai Edition(OESE)で,Unit 4“Jobs People Do”のテーマを中心に授業を展開した。45分の間、実習生の英語はとても綺麗で優しく学生とのコミュニケーションを取りながら、PPTにより画像と音声で上手に授業を進み、授業はすべて英語で行い、学生達のレベルも高かった。 ②七宝高校にて、師範大学4年生朱さん(女)と采然(男)二人の実習授業――高1の英語リーディング授業を見学した。教科書は同じシーリズのOESEで、英語辞書の使い方と単語や文法の確認を中心に40分の授業を展開した。授業はすべて流暢な英語で行い、PPTの画面と音声を使いながら、学生中心のやり方で教科書の内容を進み、とても効果的で充実した授業だった。 ③座北区第一中心小学校にて、小2年生の英語授業を見学した。教歴11年のベテラン若手教員・戴佑欣(女)による、35分の授業で30人の可愛い子ども達と楽しい授業を見させてくれた。授業は全て英語で、PPTを見ながら発音や会話を練習し、子とも達はとても積極的に先生の指導に従い、上手に練習やゲームに参加し、疲れ姿は見られなかった。授業後は実習生、指導教員と共に授業評価をし、各レベルの英語教育について意見交換をした。 2)研究論文:「中国・上海地区における小・中・高校での英語教育調査報告書」共著、平成24年11月、立命館大学大学院言語教育情報研究科・Studies in Language Science Working Paper第2号(pp.1-18)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
過去の3年間は、第2言語習得論を専門とする田浦を中心に前回科研費の調査方法を改善し、陸は中国大学での教育経験と人脈を活用し、毎年の9月に一週間ほど、上海師範大学・外国語学院の英語学科にて、現地の調査(TOEFL,面接聞き取り、教室内でのエスノグラフィカル・スタディー、学生の小・中・高校での実習、懇談;教員にインタビユー、学部長との会談等)を3回行った。 2年目までの成果は研究論文:”An English teacher training course at a Teachers’ College in China”、共著、平成23年10月、立命館大学大学院言語教育情報研究科・Studies in Language Science Working Paper第1号(pp.5-10)を発表した。 去年の9月に、上海師範大学の師範専攻の3・4年生を中心に、教育実習の学生の様子も見学や追跡し、小、中、高校英語教員を目指す学生の実習の様子も調査した。最初、大学の学部長らがやや難色を示したのは、学生の実習先が師範大学の連携校ではないのが理由であり、見学には無理かもしれないと言われた。その後、実習の指導教員の理解と協力により、すべての見学が実現し、上海地区の英語教員養成、小、中、高の各レベルの授業や学生レベルを系統的にデータ収集も出来た。これは日本の英語教員養成、特に小学校の英語教育に良い参考資料になるには間違いないと確信している。この点は、当初の計画以上に進展していた大きなポイントになった。 三年目の成果を研究論文:「中国・上海地区における小・中・高校での英語教育調査報告書」、共著、平成24年11月、立命館大学大学院言語教育情報研究科・Studies in Language Science Working Paper第2号(pp.1-18)で公表した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年は科研費の最終年度の4年目に入り、中国の大学生の6月卒業時期と合わせ、今回は次年度の2月か3月に、上海師範大学への継続現地調査を行う。中国の大学生は、4年間の学習でどれほど英語力が向上したかを引き続きデータ収集を縦断的に行い卒業前までの学力を報告書でまとめる。 具体的には、本研究に沿った縦断研究データ(TOEFL)の継続収集を行い、上海師範大学の教員(研究協力員)との連絡は、中国の大学英語教育に6年間携わった経験のある陸が、並行して行う。国内外の研究員との調整は陸がe-mailを使い、全員の共通認識を保つ計画である。4年間の授業でどれほど英語力が向上したかを計測できるようデータ収集を縦断的に行う。並行して収集されたデータは、田浦の監督の下に量的分析を研究協力者が当たり、質的分析については陸と田浦が当たる。 4年間の研究で、中国に於ける小・中・高の教員を目指す学生の入学以降に受ける教育の実態を精査しまとめ上げたい。更には、現在の日本での英語教員養成に対する提言までできればと期待している。今年は、国内の大学英語教育学会, 日本児童英語教育学会, 及び海外のAAAL, TESOL, AILAで発表し、有益な意見を得たいと考えている。また、研究会を通して得られたこの分野の専門家とのパイプを生かして、効果的英語教育実践に関する講演会やシンポジウムの開催も計画している。陸は今年度8月30日から9月1日までのJACET第52回国際大会にてポスター発表を行う予定している。 今年の10月に次回の科研費を申請し、中国の小学校英語教育の成功例を中心に調査とデータ収集し、報告書をまとめ日本の小学校英語教育発展に提言と貢献をしていくと考えている。日本の英語教育・更に小学校英語教員の養成や子とも達の英語力を高める為に、研究を進めて行く予定である。
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