研究課題/領域番号 |
22520601
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
山崎 直樹 関西大学, 外国語学部, 教授 (30230402)
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研究分担者 |
植村 麻紀子 神田外語大学, 外国語学部, 専任講師 (70512383)
鈴木 慶夏 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (80404797)
中西 千香 愛知県立大学, 外国語学部, 専任講師 (50548592)
西 香織 北九州市立大学, 外国語学部, 准教授 (70390367)
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キーワード | 中国語コミュニケーション文法 / 中国語教育 / Textbook adaptation |
研究概要 |
当初の研究計画では、最終年度に、前2年間の研究成果を総合して、教育・教材への応用を試みる予定であった。しかし、研究組織内の検討により、「具体的な教材をイメージしたほうが基礎的な研究も進めやすい」という方向性が確認されたこと、また、初年度のワークショップの参会者から「教育の現場への応用例について具体的なプランを知りたい」という意見が多く寄せられたこともあり、今年度は、「日本の大学で広く使われている教科書」を素材にし、それを個々の授業の目的にどう適応させていくかというテーマ(Textbooka daptation)に取り組むこととなった。そして、その取り組みの成果を、中国語教育学会公開ワークショッップ「中国語教科書調理法-教科書を教材にするために」という催しで公表した。 ここでは、メンバーがそれぞれ、自己のアプローチの特徴を端的に提示できるように、自分で選択した市販の教科書を素材にした「自由研究」と、メンバー全員が、同じ教科書の同じ個所を素材にして、それぞれのアプローチの違いを明示する「課題研究」とを公表し、さらにポスターセッションの場を設け、参会者と時間をかけて議論をした。なお、当研究組織による公開ワークショップは、前年度は中国語教育学会関西地区研究会の一環として行なわれたが、その意義が学会に評価され、今年度は学会公認の全国規模の行事として開催することができた。 このワークショップの成果は、次の3つの認識を参会者と共有できたことである:(1)教科書に合わせて授業をするのではなく、授業の目的に合わせて教科書を作り替えるのが効果的な教授法である、(2)コミュニケーション能力の育成を目指す授業であっても、適切な目標設定とタスクの設定により、言語構造に関する知識をおろそかにせずに済む、(3)教師が適切な教材の準備と誘導を行なえば、学習者の自律的な学習を引き出すことが可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、平成22年度・23年度は、研究組織のうち、中西・西が主に、学習者に必要な知識を機能文法的・語用論的観点から整理し、鈴木がそれを学習者自身に発見させる方略を考え、植村・山崎が、その教育への応用を考案する計画であり、そして、最終年度の24年度に全員で授業のデザインと教材のデザインに取り組む予定であった。しかし、授業のデザインと教材のデザインを目標に置いてこれらの作業を進めたほうがより合目的的であるとの判断から、2年目の23年度から、全員で教育への応用に取り組むことを決定し、3月に、その成果を10件の成果として、公開ワークショップで発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
公開ワークショップの参会者から、当研究組織の研究成果を、時間をかけて吟味し、研究組織のメンバーと意見を交わしたいという要望が寄せられ、その声は、年度ごとに強くなっている。これまで、長時間の公開ワークショップを開催してきたが、それだけでは、成果の共有と公開にはまだ不十分ということであろう。最終年度は、メンバーが個別に各地でセミナー形式の成果公開を行なうなどの方策も検討し、今後(=研究期間終了後)の活動方針を定めたい。
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