平成22年度はパイロットスタディとして6組12名の学生ペアのタスク実施中の対話プロトコルデータの分析を行った。研究代表者の勤務校において、2名の学生に授業外でライティングタスクを行った。学生ペアは問題用紙を受け取り、タスクが何を要求しているのかに関する簡単な説明を受けた後、話し合いながら協力して作文を執筆した。執筆が終わった後、タスクの模範作文を参照して「自分たちの作文をどのように改善するべきか」という視点で両者を比較し、再び話し合いながら作文を書き直した。 学生が「ペア作文段階」、「模範作文参照段階」、「書き直し段階」で何をしていたのか、という視点でデータを質的に分析し、情報をボトムアップに集約し質問紙を作成した。具体的には、KJ法を利用して対話データを有意味な単位に切片化することで、学生が個々の対話の中で何を学んでいたかに関する情報を集約し、質問紙の項目を得ようとした。最終的に、3個の大グループと12個の小グループにまとめられ、2名の研究者の協議を経て4件法の質問項目を作成した(「語彙の言い換えの重要性に気づくことができた」など計10項目及び自由記述項目3項目)。 作成された質問紙は、教室環境におけるライティングに協働学習を取り入れる効果を測定するツールとしてだけでなく、ライティングに不慣れな学生に学習時の重要事項への意識を高めるツールとしての重要性をもっている。今後、質問項目への回答の量的分析と自由記述の質的分析を通して、質問紙の改良も行っていく。
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