研究課題/領域番号 |
22520606
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研究機関 | 名古屋学芸大学短期大学部 |
研究代表者 |
鈴木 薫 名古屋学芸大学短期大学部, 現代総合学科, 准教授 (20221319)
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キーワード | 骨伝導スピーカー / 英語教育 / 聴覚障がい / CALL / 音声分析 / 聾学校 / 国際情報交換 |
研究概要 |
本研究は、骨伝導スピーカーとCALL(Computer Assisted Language Learning)組み合わせた教育システムが有効であることを明らかにすることを目的として、聾学校における実験調査・脳活動イメージングによる医学的分析・教育現場の実態調査の3つに焦点をあてて研究調査を進展させた。 1)聾学校における実験調査 今回の調査で利用した骨伝導スピーカーの使用は、従来の研究で利用していた体感音響振動システムと比較すると、障害が重度な学習者にはあまり有効とならないことが明らかとなった。今後は人工内耳利用者や補聴器利用者を中心に調査を実施し、より有効となる教育システムの構築とその利用法を追究することになった。 2)脳活動イメージングによる医学的分析 いくつかの行動実験の結果に照らし合わせて、適切な脳活動イメージングによる解析方法を選択するため、専門家に相談し、骨伝導スピーカーと体感音響振動システムの両方を使用することができる最適な実験環境を模索することとなった。 3)教育現場の実態調査 ニュージーランドのKelston Deaf Education Centreと、台湾にある国立台中啓聡学校と実践大学障害者支援センターを訪問し、教員からの聞き取り調査・授業見学・施設見学などを行った。継続的調査のために現地研究協力者と打合せを進めるとともに、台湾の聾学校で、教員や生徒を対象としたアンケート調査の実施について許可を得ることができた。 これまでに聴覚障がい者から収集したデータを音声分析し、数値化の後に解析を進め、調査結果について口頭発表や論文投稿を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教育現場の実態調査は、予定通りに進んでいる。聾学校における実験調査として、骨伝導スピーカーの行動実験を実施した結果、医学的分析に関する新たな解析法を模索することとなったが、これはもともと想定内のことである。教育現場の実態調査は、当初予定していたニュージーランドと台湾に加えて、マレーシアにおいても実施することができ、さらに進展していく状況になっている。
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今後の研究の推進方策 |
骨伝導スピーカーの利用は、聴覚障がいの程度に影響されることが明らかになったため、今後は調査協力者を絞り込んでデータを収集する。障がいの状況によって最適となる教育システムが違うことを証明する調査を開始することにより、研究の新たな展開を試みる。 脳活動イメージングのデータ収集についても、適切な実験環境について専門家に継続的に相談することにより、当初予定していた調査内容を見直し、教育現場での実験調査データを裏付けできる調査法を考案する。 教育現場の実態調査については、質問紙による調査を台湾にて実施し、以前に調査を実施した日本や韓国の聾学校のデータと比較することで、隣国間での相違について明らかにし、より国際的な研究へと発展させていく予定である。
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