研究課題/領域番号 |
22520611
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研究機関 | 旭川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
鈴木 智己 旭川工業高等専門学校, 一般人文科, 教授 (70342441)
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キーワード | 動機づけ / 学習者要因 / 因子分析 / 英語能力 |
研究概要 |
平成23年度は初年度に行った予備調査(研究協力校である北海道内の公立高等学校[普通科5学級+理数科1学級の約240名]1校、および北海道内の高専の約180名で実施)をもとに完成した質問紙調査表を使用して1年目のデータ収集を行った。研究協力校である高等学校は入学試験時の学力レベルが当該高専と概ね同等であること、さらに理数系学科を持つことから比較分析に適しているため選択した。 因子分析の結果4つの因子が抽出され、その構成下位項目の特徴から(1)必要性因子(英語学習が自分の現在や将来にとって重要であるという考えに関わるもの)、(2)関心・積極性因子(英語学習に対する興味や関心、それによって引き起こされる英語を学習しようとする積極性に関わるもの)、(3)肯定体験因子(英語学習における自信や成就感、肯定的体験に関わるもの)、(4)憧憬因子(英語圏の生活・文化や海外の人と接することに対する憧れや願望に関わるもの)と命名した。さらに、この因子を用いてクラスター分析を行い、被験者を4つのグループに分け、プロファイリングを行った。 1年目に得られたこれらのデータから明らかになった主な項目は次の通りである:(1)高校生の方が高専生よりも英語能力がやや高い、(2)高校普通科の生徒が高専生と高校理数科を合わせたグループよりも英語能力で上回っている、(3)リスニング能力では高校生が高専生を上回っている、(4)クラスター分析において最も弁別的であったのは「憧憬因子」である、(5)「必要性因子」においては高専生が上回り、(6)「肯定体験因子」においては高校生が上回っている。とりわけ興味深い点は、概して英語を苦手とする高専の学生が、「必要性因子」において高校の生徒を上回っており、逆に「肯定体験因子」において下回っている点である。換言すると、高専の学生はいわば英語学習の必要性は感じているものの、それまでの英語学習における成功体験が少ないため苦手意識を持っているとの解釈も可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目に得られたデータの分析によって明らかになった被験者の動機づけと英語能力の傾向をさらに詳細にわたって検証するために、2年目の調査では質問紙調査の項目の加除を行うが、そのための関連文献調査が現在も進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は引き続き2年目のデータ収集を行い、学校種間および学科区分で見られた差異が2年目以降にどのように変化しているかを注視していく。また、抽出された因子構成に関わらない質問項目を削除する一方、学習習慣に関する質問項目を新たに加え、分析の視点を増やすこととする。1年目のデータにおいては主として学校種間での差異に目を向けたが、2年目にはその傾向が継続傾向を示すのか、あるいは変化していくのかを注視していく。
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