本研究は、英語関連分野の研究者に対しては、世界の主要英語圏の母語話者が子供の頃から自然に覚えてきた物語を収めた特殊コーパスを提供し、小・中学校の入門期の英語指導者に対しては、学習者に真正な英語に触れるチャンスを与えることの出来る利便性の高い教材やその基礎資料を提供することを目的としている。 本年度は、アメリカ英語母語話者を中心に、子供の頃に聞いた物語を語ってもらい録音し、その物語にまつわるエピソード、話者に関する情報、音源と共に、物語を記述した英文、コーパスとして利用可能なテキスト・ファイルを、Web上にアップした。 当初は、約50件の物語を収集する予定であったが、実際に録音することを前提に幼いころに聞いたお話を語ってもらえる協力者を集めるのが難しく、予定の数に達していない。最も苦労したことは、「コーパス」とはどのようなもので、自分の語った物語をコーパスにすることで、それがどのように英語の指導や学習に結び付くのかに関しての説明を協力者に迅速に理解していただけなかったことである。 そのため本年後期には、コーパスとはどのようなもので、これまでコーパスを利用してどの様な研究がなされ、今回の研究で研究者が着目しているレキシカル・フレーズとはどのようなものか、更に、物語で用いられているレキシカル・フレーズを知ることが英語指導・学習にどう役立つのかを説明するため、これまでの行った研究をまとめることとした。これによって来年度からは、データ収集の協力者への依頼がよりしやすくなり、また、実際に研究者が海外に出向くことができない場合でも、データをファイ化してメールで送付してもらうことが可能となると考えている。
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