学習ストラテジー指導のうち、扱われることの少なかったスピーキングストラテジー指導の効果を検証した。検証にはアンケートを用いる必要があったが、国内で広く用いられてきたtheStrategyInventoryofLanguageLearning(SILL)7.0(ESL/EFL)(日本語版)はその不備が度々指摘されてきた。本研究ではその問題を可能な限り解決し、修正版SILLを作成することができた。その上で、作成した修正版SILLを用い大学英語授業におけるスピーキングストラテジー指導につき調査したが、指導の効果は認められなかった。修正版SILLと習熟度の増減の間にも相関は認められなかった。これらは予測に反する結果であったが、データを仔細に分析してみると、ストラテジーの習得には著しい個人差が見受けられること、習得し易いストラテジーと難しいストラテジーが存在すること、比較的習熟度の高い学習者の方がストラテジーを習得し易いこと、教室で学んだストラテジーを教室外で練習する機会を持つ学習者がストラテジーを習得していることなどが判明し、今後の学習ストラテジー指導の実践や研究に有益な示唆を与える結果を残すことができた。
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