研究概要 |
本研究の目的は、小中連携に向けた小学校外国語(英語)活動と中学校英語教育における望ましい授業実践を提案することである。3年目の成果は本調査の分析、結果の解釈、専門家・研究者との協議、それを受けて小中連携のための具体的な提言のための検討を行ったことである。 全国規模の本調査(小学校5・6年生44校2966名・教師122名、中学生39校3175名・教師121名)は次のように実施した。まず英語学習に対する信条を見るアンケートに回答してもらった後、次にタイプの異なる2つの活動<「繰り返しが多く発話を求める活動」(活動A)・「インプット重視でインタラクションをめざす活動」(活動B)>を撮影したビデオクリップを視聴してもらい、学習者が2つの活動をどのように評価するか(どちらを好むか、受けたいか、聞く話す力をつけるのに役立つと思うか)のアンケートに答えてもらった。 この結果、小・中学生とも活動Bを好み、受けたいことがわかった。どちらが役立つかについては、小学生は活動A,中学生は活動Bという結果になった。教師に対するアンケートでは、小中の教師とも、すべての項目で活動Bを選ぶという結果になった。英語学習に対する信条については回答による差がなく、信条が授業を選ぶ際に影響を与えていないことがわかった。また教師と児童・生徒の信条の回答傾向は概ね一致していた。 本調査で小中学生が選んだ活動Bは「コミュニケーション能力の素地・基礎の育成をめざすよりよい外国語(英語)活動・英語授業」であるのか、第二言語習得の観点から分析、専門家と検討を行った結果、活動Bはおおむね言語習得を促す要因(理解可能なインプットと自分のことを言うアウトプット)がある活動であることがわかった。 小中学生及び教師も好み・受けたいと思い、第二言語習得の視点からも好ましい活動Bの授業「インプット、インタラクションモデル」を提言する。
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