研究概要 |
本研究の基になっているのは、英語を専攻としない大学生が持つ英語学習に対する成功感と失敗感である(Takahashi, 2003)。その研究から、習熟度が低い学習者ほど、自分自身の能力や努力に対するビリーフが低くなっていることが浮かび上がってきた。そのため、「英語の受動的能力におけるメタ認知ストラテジーの育成プラン」を使って、英語を専攻としない大学生の英語の受容的能力の能力を伸ばしていくことが提案された。 2012年度は、メタ認知ストラテジーの働きを明確にする工夫を、英語リスニングにおいて試みた。小テストによって、学習者の英語リスニングにおけるメタ認知ストラテジーを上げる試みをしてみたのである。メタ認知ストラテジーが上がることによって、学習者自身の現在の学習レベルが意識されるようになり、達成目標とのギャップに気づくことになることが期待された。最終的には、リスニング能力が上がることが予測された。 第1の研究目的である「小テストをすることによって、調査対象者のメタ認知モニタリング力を上げることはできるだろうか?」に関しては、メタ認知モニタリングに関する質問項目の5項目のうち2項目が、メタ認知ストラテジー育成プラン実施後に、有意の差を示していたことから、小テストによって、調査対象者の自己モニタリング力が伸びたことが確認された。 第2の研究目的である「調査対象者は英語リスニングの能力を上げることができるだろうか?」に対する回答は、ポストテストがプレテストの成績を有意の差で上回ったことにより、肯定できる。 英語リーディングと同様、大学入試の後では、英語の授業時間や学習時間が減ったと推測されるにもかかわらず、グループとして伸びを見せたことは、大学の一般教養の外国語科目の教育方法としては、成功であったと言える。
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