(1)19世紀の太平洋の賛美歌の録音資料について、Brian・Dittrichと検討を重ね、その概要と保存先について整理した。テープで保存されていて、しかも非公開資料についてデジタル化して公開する方策について話あった。(2)ハワイ大学マノア校ハミルトン図書館太平洋コレクションによって、ポリネシアの賛美歌について資料を補完した。(3)ニュージーランドのオークランド大学図書館で主にマオリの賛美歌集について資料を補完した。(4)パプア・ニューギニアの賛美歌については、Don・Nilesの研究を元に当該研究に関係するものについて整理を行った。(5)日本の唱歌の脱宣教化については、歌詞のモーラと旋律のリズムとの関係の視点から考察を進めた。この日本独自の関係から賛美歌とは異なる日本独自のリズム形が生じる過程を明らかにした。(6)宣教化の根本原因である太平洋の捕鯨活動について、アメリカ東海岸の捕鯨基地と宣教師養成及び派遣との関連、太平洋での捕鯨基地と宣教基地との関連について概略を明らかにし、太平洋の歌唱の宣教化は捕鯨活動と密接な関係を有していたことを考証した。(7)本年度の成果については、これまでの成果を合わせて第10回日本賛美歌学会大会で「太平洋の賛美歌と唱歌」という題で発表した。(8)今年度は主に日本とアメリカの唱歌集を中心に資料のPDF化を進めた。(9)次年度のシンポジウムの準備のために、ハワイ大学のJane・Moulinとヴィクトリア大学(ニュージーランド)のBrian・Dittrichと「太平洋の歌謡の宣教化と脱宣教化」について協議し、日本音楽教育学会第42回大会で発表するため共同企画として申請することにした。
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