研究概要 |
ハワイ大学マノア校ハミルトン図書館太平洋コレクションで未収集であった讃美歌集を収集し、19世紀太平洋諸島の讃美歌集のデータベースを完成させた。このデータベースに基づいて太平洋の各地域間、各地域内の讃美歌の比較分析が容易になった。 2012年10月19日から20日まで開催された韓国ソウルの梨花女子大学音楽研究所主催の国際学会(2012 International Conference at Ewha Womans University in Seoul: The Discovery of Modernity in East Asian Music: The West, Tradition, and Beyond)で、『小学唱歌集初編』所収の唱歌のルーツを宣教化と脱宣教化という背景の中で見直した。その結果、『小学唱歌集』初編の第13番、第15番、第16番、第20番、第24番、第25番、第26番、第27番、第29番は、1.唱歌とは別の系譜の歌である。2.メーソンに宣教の意図によって採用された歌である。3.当時の太平洋の讃美歌曲の系譜に連なる歌である、ことが判明し、日本の近代音楽の新しい筋道が見えた。 ケーススタディとしてニュージーランドを選び、キリスト教宣教活動と捕鯨活動とは、船員の放縦な生活を戒める他は、捕鯨活動にとっては野蛮で凶暴である現地人をキリスト教化し安全に捕鯨活動が出来るようにするなどの利益があり、一方宣教活動にとっては捕鯨の基地である港を使い、捕鯨船を人員物資の輸送に使うという利益があり、互恵関係にあったことが立証された。
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