研究課題/領域番号 |
22520648
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
保坂 裕興 学習院大学, 文学部, 教授 (30219159)
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研究分担者 |
安藤 正人 学習院大学, 文学部, 教授 (90113422)
高埜 利彦 学習院大学, 文学部, 教授 (90092254)
入澤 寿美 学習院大学, 文学部, 教授 (20101587)
森本 祥子 学習院大学, 文学部, 助教 (80342939)
針谷 武志 別府大学, 文学部, 教授 (60316932)
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キーワード | 評価選別 / 文書目録 / 中間保管 / シリーズ・システム / ISO15489 / 記録管理 / レコードスケジュール |
研究概要 |
2011年度は、6月、7月、9月、12月に研究会を開催し、2月には国立公文書館前館長による普及啓発のための講演会を実施し、締め括りとした。 6月の研究会では、主たる対象事例である学習院アーカイブズの開発・運営状況についてその全体を鳥瞰するとともに、記録の評価選別方策と移管方式に関して検討を行った。それによれば、当初予定されていた施設拡充とその後の記録等の移管が、キャンパスプランの遅れに伴って、進展が遅れることが判明した。また現状は例えば、大学を含む学校の各部署においては、保管文書の目録を作成していない部署が80%を超え、また定期的に文書の移管乃至廃棄を行っている部署が30%に満たないといった状況である。これに対応して、評価選別方策等のソフト面での備えを十分に進めることとした。併せて、記録とアーカイブズの中間保管状態にある文書、及び学習院アーカイブズ収集文書(写真等を含む)の概要把握、目録作成を先行させて行うこととした。その結果、年度末にはそれらはほぼ終了した。 7月には、同アーカイブズの所蔵資料を大学院アーカイブズ学専攻における「整理記述演習」の授業で活用した教育研究報告を得た。オーストラリアのシリーズ・システムによるものであるが、大学院生たちにとって現物資料を用いて、その群としての構造や脈絡情報を捉えさせることが極めて有効であることが知られるとともに、結果として古文書学上またはアーカイブズ学上の未知の知見が多数得られた。 9月と11月の研究会では、国際標準化機構(ISO)が制定したISO15489「記録管理」(JISX0902-1)を参照しながら、対象組織における記録管理の基幹業務が如何にあるべきかを検討した。事務分掌規程に対応した各部署の記録管理業務と内外の要求事項を特定して、レコードスケジュール(保存年限)の設定を行うことが必要であることが知られた。それらをいくつかの部署で実験することとした。 2月の講演会ではアーカイブズ機関の役割について理解を促した。学校法人内各学校・部署から教職員等合計50名の参加を得た。次年度はこれにより形成された人的ネットワークを基に実践的研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主たる研究事例としている学習院アーカイブズは、施設の拡充・整備が予定されていたが、実際には大学のキャンパスプランの遅れにともなって実施されていない。このため、施設を活用したアーカイブズ・システムの設計や、学校法人内各部署からの実際の文書移管については行うことができない状況になっている。
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今後の研究の推進方策 |
上記の問題があるので、その代わりに、理論上の検討、方策上の措置を重視していくこととした。 また、記録/アーカイブズの管理は、「事務規程」により管掌される事案であり、その実施に至るまでを教学系研究グループが直接に管掌することはできないことが、改めて認識された。そのような制約を十分に理解した上で、アーカイブズ・システムの実施に必要な検討と提案に絞り込んで研究を進めていく。
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