研究課題/領域番号 |
22520652
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
古川 哲史 大谷大学, 文学部, 准教授 (90410977)
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キーワード | 史学一般 / 歴史理論 / 歴史哲学 / 世界史 / 関係史 / 東アジア / アフリカ / 日本 |
研究概要 |
本研究は世界史の枠組みの中で、申請者がこれまで取り組んできた<第二次世界大戦期までの日本-アフリカ関係史>の研究成果を出発点に、対象地域を東アジア(主に中国、朝鮮半島、日本)にひろげて、19世紀末から20世紀半ばにおける東アジアとアフリカの関係をグローバルな視点から明らかにすることを目的とする。従来、世界史あるいはアジア史やアフリカ史において、個別に扱われてきた諸相をつなぐ接続性を見出す作業であり、その「接点」や「接線」について歴史学的考察を試みるものである。 本研究は、理論かつ実証面(いくつかの重要な事例研究)での個人研究であるとともに、この大きなテーマを国際的な規模で論じるための国際共同研究の可能性を探る作業も含む。さらには、将来的な課題<世界史における東アジアとアフリカ、アフリカ系ディアスポラ>(East Asia, Africa, and the African Diaspora in World History)にどう繋がるかを考える。 研究計画の2年目にあたる平成23年度は、先行研究の調査・収集およびその概観と検証を行った。そして、関連の国内外の史・資料や情報の収集を遂行した。また、日本における歴史学の傾向や問題点を、日本のアフリカ史学の流れや停滞/発展から指摘する作業も行った。とくに、拙稿「アフリカ史-精神と学界の脱植民地化に向けて」(『歴史と地理』651号、山川出版社、2012年2月)では、歴史教育の現場にいる高校教員を意識し、大学等の歴史学に関わる組織の従来の区分や制度、国民国家や西欧-非西欧といった枠組みを、より相対化する重要性を述べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究計画に従い、先行研究の調査・収集およびその概観と検証を行い、関連の国内外の史・資料や情報の収集を遂行した。また、日本における歴史学の傾向や問題点を、日本のアフリカ史学の流れや停滞/発展から指摘する作業も行った。とりわけ、日本におけるアフリカ史学をあらためて概観、検証できたことは、本研究課題の申請者の立ち位置や視座を自ら再確認し、今後、国際研究として発展させる際にも有益な作業となった。(なお、本年度の主要資料の収集は、国内外とも関連研究者やインターネットを通じての調査・入手が可能となり、物品費の支出割合が申請時より増加した。)
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、基本的には当初の研究計画に沿って遂行する。前年度から引き続き、「先行研究の概観と検証」を行い、「資料収集や分析、実証的考察」を推進する。日本や外国における調査も予定している。「研究成果の公表」については、申請者の所属する学会等で中間発表的な口頭発表を試み、第三者の批評や意見を聞き、研究内容や計画・方法を再検討し、必要に応じて研究活動にそれらを活かす。最終的には、研究成果を研究論文として公表するとともに、本研究の目的の一つにあげた、本テーマを国際的な規模で論じるための国際共同研究の可能性を探り、実現化していく。
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