幕末・明治初年の山形県村山地方における地域社会の変動及び統合過程を、幕府代官所及び山形県と地域社会の諸階層(大規模豪農、中小豪農、自作農、小作農、日雇雑業)の複雑な対抗と連携の過程として総合的に分析した。 特に、著名な「世直し状況」論では注目されていなかった「大規模借地農」(大規模な小作経営)が層として存在していたことをあきらかにした。彼らは幕末期の広域的な小作争議を主導したとともに商品生産を組織し、明治期になると、彼らは組合村惣代ではなく、山形県に地域産業振興を献策した大規模な豪農とそれと連携する中小豪農を支持したため、彼ら豪農層による地域統合が全体として進展したことをあきらかにした。
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