1今年度は、9世紀の経典目録群の記載内容の電子データ化を実施した。ただし正倉院文書中の目録断簡の復原・データ化はあまり進展させることができず、次年度以降の課題とした。 2学会での研究報告を2回行った。(1)7世紀の朝鮮半島諸国-倭国間の対等的外交関係と、関係定立の背景となる僧侶同士の「師友」関係が存在したことを指摘。2011年度中に『歴史科学』に掲載予定。(2)2011年5月開催予定の歴史学研究会大会古代史部会報告の準備報告で、東アジア全域での仏教の受容の特質の解明をめざした。(1)(2)ともに経典目録に記載されている経典類請来とその学習の背景にある、東アジアでの僧侶集団の共同組織の実態について教学面を含めて解明するもめで、その意義は大きい。 3論文(共著)を1本公表し、寺院における経典群を含む資財管理のあり方の日唐比較を行い、東アジア世界での仏教受容の偏差を浮き彫りにした。
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