研究課題/領域番号 |
22520663
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 信博 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 助教 (90345843)
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キーワード | 文化交流史 / パリ国立図書館 / 写本室蔵書(和・漢・朝鮮) / 西欧と東アジア / 17~18世紀 / 宣教師による著作 / 酒飯論絵巻等の絵巻 / 図像表象 |
研究概要 |
モーリス・クーラン偏『パリ国立図書館所蔵漢籍解題目録』およびアンリ・コルディエ編『17~18世紀に中国において西洋人によって出版された『西書漢訳解題目録』と研究代表者が既に作成した目録との対照を行い、全体で95%の完成度であるが、前年度に作成した範疇別目録に追加した。平成23年11月には、フランス国立図書館、セルヌスキー美術館、フランス人間科学研究所で開催されたパリ国立図書館蔵『酒飯論絵巻』に関する国際研究集会(『対話する絵』)に参加し、「フランス国立図書館蔵江戸絵写本に描かれる植物・食物について」の研究発表および『酒飯論絵巻』の詞書に関する発表を行った。また同時に写本室で、中国で出版されたイエズス会宣教師による西洋科学書の調査を重点的に行った。平成24年2月には群馬歴史博物館および東北大学「狩野文庫」の調査を行い、『酒飯論絵巻』や「農耕図」、江戸絵物語写本、西洋科学関係書(『新訂坤與略全図』、『六物新志』など)の調査を行った。本年度はこの研究課題から発展した「可視化され擬人化される植物・食物」(「メディアを巡る文化創造および発展」研究会・名古屋大学、平成23年12月)、「フランスにおける日本物語絵写本研究について-岩瀬文庫との関係を巡って」(「メディアを巡る文化創造および発展」研究会・西尾市岩瀬文庫、平成24年2月)と二度発表を行った。なお、発表した研究論文はないが,平成24年1月に名古屋大学大学院文学研究科学位(論文博士)を申請し、合格した博士論文中に、この研究課題を元に記した論文が二本(「酒飯論絵巻について」、96~116頁、「フランス国立図書館所蔵の宣教師による西書漢訳著書について」、380~394頁)、その他目録がある(「フランス国立図書館写本室蔵西書漢訳書、和書、朝鮮漢書目録」、253~359頁)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者が作成している「範疇別目録」は最終段階に来ており、次回のパリ国立図書館調査(平成24年6月)で完成の予定である。ただ、西洋科学書翻訳漢書の日本への普及に関する研究が多少遅れており、次年度に集中的に行う予定である。また、この研究課題から研究が進展したフランス国立図書館蔵『酒飯論絵巻』は、学術振興会の国際集会に採択され、平成24年11月23日~25日の三日間、「フランス国立図書館蔵『酒飯論絵巻』を巡って」と題した国際研究集会が研究代表者を主催者として開催される。
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今後の研究の推進方策 |
西洋科学書翻訳漢書の日本への影響度に関する研究が遅れており、東北大学狩野文庫、その他の江戸時代西洋技術書を所蔵する図書館を次年度は集中的に調査する予定である。
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