沿岸地域の開発は、浚渫・築島(島築/築港)などの港湾整備、干拓・治水・利水などの耕地開墾と土地造成に関わる事項など、多数の要素を含み、それらが複合的関連をもつことで対象地域内にとどまらない社会的諸関係が構築されてゆく重要な契機となる。日本中世(11~16 世紀)の沿岸部開発に関する史料を悉皆的に収集、整理し、暫定的な史料目録を作成するとともに、開発の諸類型として(1)(自然の)島・潟形成と利用 (2)塩入荒野・氾濫原の開発 (3)築島(嶋築/築港) (4)湊の浚渫 (5)漁場の開発 (6)その他 に分類し、それぞれに該当する事例検証を通して、地域における経済活動との関連や支配関係の実態を追究した。
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