研究課題/領域番号 |
22520678
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
津野 倫明 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 教授 (60335916)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 日本史 / 朝鮮出兵 / 軍目付 |
研究概要 |
本研究では朝鮮出兵における軍目付の機能および実態を解明することを全体構想としている。3年目にあたる本年度は前年度までの成果をふまえて、以下のような史料収集と倭城跡の現地調査を実施し、史料の分析も進めた。 1.史料収集:(1)12月、東京大学史料編纂所において古文書纂などの史料調査(閲覧・筆写など)を実施した。(2)2月、東京大学史料編纂所において対馬古文書などの史料調査(閲覧・筆写など)を実施した。2.現地調査:(1)11月、戦線縮小論で存廃議論の対象となった蔚山倭城および比較的近くの西生浦倭城の城跡などを現地調査した。この調査により、議論の論点となった蔚山倭城跡周辺の「難所川越」にかかわる太和江などを実見しえたことは戦線縮小論を深く理解するうえで有意義であった。3.史料分析:(1)古文書纂の(慶長2)年8月10日付豊臣秀吉朱印状写などの分析により、軍目付の行動とそれに対する秀吉の認識との早期のギャップを確認した。(2)対馬文書の慶長2年7月22日付「番船取申帳」などの分析により、軍目付による戦功報告方法に関する新知見がえられた。4.研究発表:(1)軍目付太田一吉の実態解明と関連する研究成果として「長宗我部氏の研究と「壬辰倭乱」」を学会発表(招待講演)することができた。(2)軍目付垣見一直の実態解明と関連する研究成果である論考「軍目付垣見一直と長宗我部元親」を収録する単著『長宗我部氏の研究』を発行することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
戦地朝鮮からの報告や軍事行動といった軍目付の機能・実態を明らかにすべく、各年度の交付申請書の「研究実施計画」に記載した史料調査(おもに東京大学史料編纂所)と現地調査(大韓民国の順天・泗川、蔚山・西生浦)を計画どおり実施してきた。こうした計画の着実な実施により、これを前提とする史料分析も進んでいるので、本研究はおおむね順調に進展していると評価してよいと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究実施計画のうち史料調査1回が東日本大震災の影響で延期せざるをえなかったものの、繰越により次年度度前半に実施できた。よって、この調査を含めて「研究計画調書」でたてた研究計画は本年度までおおむね順調に実施されてきたといえる。このような進捗状況をふまえるならば、最終年度にあたる平成25年度も「研究計画調書」の研究計画を堅実に実施してゆくことが最善の方策であると判断する。
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