研究課題/領域番号 |
22520681
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
丸山 裕美子 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (00315863)
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キーワード | 日本史 / 書儀 / 敦煌文書 / 往来物 / 書札礼 |
研究概要 |
本研究は、日本古代における中国「書儀」の受容と展開について、具体的な様相を明らかにし、日本中世以降に盛行する「往来物」「書札礼」の成立についての見通しを立てることを目的とする。具体的な研究手法としては、まず敦煌写本や法帖として残る「吉凶書儀」「朋友書儀」や「月儀帖」を分析し、それを受容した日本古代の書儀文化の実態を考察する。次いで、「往来物」とくに「古往来」と、「書札礼」について調査し、中国の書儀が日本の往来物・書札礼の成立にどのように関わったかを明らかにする。 平成23年度には本科研費の他に、愛知県立大学学長特別教員研究費(学外研修・国外)を受けたこともあり、中国における敦煌写本の書儀について、資料の確認と参考文献の収集をほぼ終えることができた。研修先の中国社会科学院歴史研究所において、書儀研究の第一人者である呉麗娯氏と直接意見交換できたことは収穫であったし、同じく書儀研究に先鞭をつけられた北京理工大学の趙和平教授とも交流がかない、最新の書儀研究動向を知った。また概説ではあるが、これまでの書儀に関わる研究成果(正倉院文書の中に見える書儀文化)について、中国社会科学院で講演することができたことは有意義であった。 一方で、平成22年に行ったロシア科学アカデミー東方文献研究所(IOM)での調査に基づく研究成果(「IOM所蔵索靖月儀帖断簡について」)を中国語で作成し、論文として提出していたのだが、出版される以前の7月に中国で内容が近似した論文が発表されてしまった。旧稿の不備についての指摘もあり、内容的な重複も多く、拙稿は撤回せざるを得なかった。そのため23年度の研究成果として発表したものは少ないが、24年度に再調査を行い、より完成度の高い論文を作成することを目指したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記9に記したように、昨年中国で同様の研究が先行して発表されてしまったため、再度の調査、検討が必要となってしまったのが、「やや遅れている」理由であるが、今年度中に遅れを取り戻すべく鋭意努力する所存である。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題の最終年度にむけて、これまで収集した資料の整理と分析を行い、研究論文及び報告書を作成する。上記9・11で記したように、IOM所蔵の「月儀帖」については、昨年中国で類似研究が発表されてしまったが、本年度中に再度調査を行い、より完成度の高い論文を作成することで対応したい。
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