研究課題/領域番号 |
22520685
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
七海 雅人 東北学院大学, 文学部, 教授 (00405888)
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キーワード | 板碑 / 松島 / 多賀国府 / 白河庄 / 石川庄 / 中世奥羽地域史 / 中世武士団 / 文化財保存・活用 |
研究概要 |
(1)板碑の調査 〔松島町雄島の調査〕2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれにともなう大津波(東日本大震災)により雄島へ渡る橋が崩落し、海底の様子・地形が大きく変化した。また地盤沈下により干潮時の海面低下も鈍り、大きな余震も続いた。このため、昨年並みの調査を実施することは困難となった。そこで、ゴムボートを用いて4月から7月にかけて6回雄島へ渡り、簡便な調査を実施した。雄島内部の被災状況を確認し、196点の板碑破片を海底から採集することができた。とくに「平孫犬丸」という人名が刻まれた板碑を発見することができた意義は大きい。また、昨年度までに採集した板碑のデータベースの作成を継続しておこなった。 〔東松島市の調査〕板碑の所在確認と東日本大震災による被災状況を調査した。宮城県石巻市の郷土史家・故勝倉元吉郎氏が遺した調査目録・拓本資料を震災のレスキュー活動により入手し、その整理と内容確認を進めた。 〔石川町・白河市の調査〕石川町の板碑について分析を進め、研究ノートを作成した(『石川町史』通史編に発表)。3月に白河市の板碑、泉崎村の磨崖板碑を調査した。 (2)中世奥羽史料目録の作成 昨年度の作業成果を『南北朝遺文東北編』第2巻として出版した。ひき続き鎌倉時代の奥羽両国に関係する文書史料のデータベース作成に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
東日本大震災の発生により、調査対象地域である松島町・東松島市が甚大な被害を受け、調査作業が困難となった。また本研究代表者である七海雅入自身が被災者となってしまい、2011年いっぱいは研究生活の立てなおしに時間を費やさざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初、東松島市の板碑については、新発見も含めてすべての板碑の調査を完了する予定であったが、上記11に記載した理由により、最終年度中に達成することは困難となった。また、新たに関連資料として故・勝倉元吉郎資料を入手したため、その整理・分析を進める必要が生じた。したがって、東松島市の板碑に関しては、当初の研究計画を変更し、まずは東日本大震災被災後の現状把握と基礎データの作成を優先し、次年度以降もひきつづき悉皆調査を進めていくこととする。
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