(1)板碑の調査 〔松島町雄島の調査〕東日本大震災により雄島へ渡る橋が崩落してしまったため、2012年度もゴムボートで雄島へ渡り、周辺海底における板碑の分布調査と採集作業をおこなった。4月23日から7月19日まで干潮時に計10回調査を実施し、308点の板碑破片を採集することができた(このうち106点に種子を確認し、2点に銘文のみを確認した)。中でも、上端部が欠損していたものの90センチ余りにおよぶ康永3年(1344)銘板碑を発見できたことは重要である。また、昨年度までに採集した板碑のデータベースの作成を継続するとともに、2006年度に採集した板碑の資料目録(写真・拓本)を発表した。 〔東松島市の調査〕隣接する石巻市(新・旧北上川流域)も含めて、東日本大震災で被災した板碑群の現状確認を継続した。東松島市内の板碑の所在については、確認作業をほぼ終えることができた。また、昨年度から開始した故勝倉元吉郎氏の調査目録・拓本資料の整理作業をひきつづきおこなった。 〔石川町・白河市の調査〕これまで蒐集した資料をもとに、石川町と玉川村の板碑に関するデータベースを完成させた。また白河荘域の板碑の所在確認をおこなった。 (2)中世奥羽史料目録の作成 各種資料集などから、鎌倉時代~室町時代前半の奥羽両国に関係する文書史料を蒐集した。これをもとにデータベースの作成を開始し、基本項目の入力を終えた。
|