本年度の研究成果は、以下の通りである。 1.『日本国見在書目録』と日本古代の漢籍受容に関する先行研究の収集・整理 関連研究について、できうる限り入手し、その研究史的な整理を進めることができた。『日本国見在書』の注釈書を作成する上で、必要な基礎作業である。 2.遣隋使のもたらした書籍についての調査・研究 遣隋使が日本にもたらした中国書籍について、調査・研究を進めた。東京大学史料編纂所において、隋経に関する書籍の調査を行うと共に、『日本国見在書目録』所載の書籍のうち隋代の書籍の割り出しなどを進めた。遣唐使以前に日本にもたらされた漢籍や仏典にどのようなものがあったかを明らかにし、七世紀と八世紀の文化交流のあり方の違いを明らかにする作業である。 3.遣唐使による書籍将来に関する研究 遣唐使の書籍将来を古代東アジアの国際環境に位置付ける研究を進めている。近く単行本として出版できるように、現在鋭意原稿執筆中である。2と3の研究も『日本国見在書目録』の注釈を作成する上で、是非進めなければならない研究である。
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