『太政官日誌』(慶応4年2月~明治2年12月発刊分・通巻304号)を研究対象に、以下の研究を行った。 (1)所在調査、所在・閲覧条件の確認については全国322か所に所蔵されることが明らかになった。所在情報はWEB報告書第1部「史料学的考察」において公開される。(2)現地調査(概要調査・細目調査)および(3)調査報告書の作成(全41件)、調査情報のデータ化・共有化については、10月に東京都公文書館、2月に臼杵市教育委員会において調査を行った。(4)再調査実施および(5)再調査カード情報のデータ化・共有化・分析については、8月に国立公文書館・国立国会図書館で再調査を行った。(6)4月からデータ分析・研究に本格的に着手した。調査カードのデータベースを作成し、グラフ化した。(6)8月に研究会を開き、研究の中間報告を行い、報告書の構成・執筆分担を決定した。(7)12月9日(日)13:30~17:30公開研究会を東京大学史料編纂所において開催した。報告者は3名で、会場の一部を使用して、複製写真および原史料による小展覧会を開いた。(8)12月中旬、「戊辰戦争期木版刊行物研究会」のWEBベージを公開し、公開研究会の成果、『太政官日誌』の同版・異版・異本調査の状況など、研究成果の一部の共有化をはかった。(9)3月までWEB報告書論文の執筆を行うとともに、メーリングで意見交換を行った。 『太政官日誌』は予想以上に、同版(修あり)や記事訂正(校正記事)が多く存在した。摺り消し・訂正等チェックリスト、諸本比較表を新たに作成し、適宜、再調査を行ったが、木版刊行物に適合的な調査方法はいまだ微調整を必要とする。『太政官日誌』の作成、交付・販売・修正という情報流通、読者、官庁文書のなかでの蓄積といった受容については、現地調査に基づく7本の論考がWEB報告書第2部「戊辰戦争期の社会文化論」に掲載される。
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