本研究「古代・中世における八幡信仰と神国思想の研究-石清水と鶴岡の祭祀儀礼を中心に-」の研究目的は、第一に、石清水と鶴岡の両八幡宮で行われた殺生禁断の仏教儀礼である放生会の異同とその神事化について、第二に、全国の権門寺社が毎年画一的かつ統一的に行った修正会および修二会に関する八幡宮の特質について、第三に、幕府が主催した武家祭祀としての八幡宮安居会の神事化について、各々の比較研究を通して、古代・中世における八幡信仰の特色と神国思想との密着した関係性の実態を究明するところにあった。 平成24年度の研究実施計画は、平成22年度の基盤調査研究、平成23年度の展開的な研究を土台として、本研究課題の総括的な研究と位置づけた。すなわち、古代・中世の神国史料データの蒐集と集積、石清水と鶴岡の両八幡宮の祭祀関係史料データの蒐集と集積、ついで、年次別の史料年表の作成、それらを基にした研究編の執筆・作成のための調査・研究を実施、推進した。さらに、データベースの公開にむけた準備を継続して行っている。なお、研究編については、研究代表者が校訂した『石清水八幡宮社家文書』と同じような史料集の刊行を通じて、斯界および一般に本研究課題の公開を予定している。
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