研究課題
(1) 初年度・第2年度に引き続き,中央アジア・新疆地域出土の古代ウイグル語帳簿資料について,既収集の写真複製・画像データに基づくテキスト転写・英訳作業を継続するとともに,歴史学的考察の準備作業として,書式・内容に基づく類型化作業を開始した。また,この作業に必要な図書類(辞書・研究書など)を購入した。(2) 第2年度に引き続き,イスタンブル大学(トルコ共和国)を訪問して,旧ベルリン所蔵の古代ウイグル語帳簿文書群の写真複製資料を調査した。(3) 中央民族大学(中国・北京)で開催された「西域・中亜語文学国際学術研討会」において,帳簿資料をも間接的に利用した研究報告を行なった。同時に,参加した各国の研究者と情報交換を行なった。(4) 上記のイスタンブル大学所蔵写真資料のなかから,ソグド語・ウイグル語の2言語で書かれた帳簿資料を世界で初めて公刊するとともに,9-10世紀の西ウイグル王国治下で,マニ教教団と仏教教団とが提携して商業交易を経営していたことを解明した。(5) その他,ウイグル語帳簿資料をとりまく社会経済史的背景として,中国民間信仰との関係,甘粛地域の西夏仏教との文化的関係,ウイグルと契丹=遼帝国との関係に関する論考を発表した。
2: おおむね順調に進展している
テキスト校訂はほぼ順調に進捗している。また,未公開の新出資料の収集なども進んでいる。さらに,歴史学的考察に属する研究成果を,当初計画に先んじて公刊することができた。
平成25年度は本研究計画の最終年度にあたるので,テキスト校訂作業を総括する。ただし,なお解読・校訂を決定できない術語類も少なくないので,広く関係分野の研究者と情報を交換しつつ,正確な校訂テキストを準備したい。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
契丹[遼]と10~12世紀の東部ユーラシア(アジア遊学)
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弘前大学人文学部『人文社会論叢』人文科学篇
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Tanguty v Czentral’noj Azii. Sbornik statej v chest’ 80-letija professora E. I. Kychanova
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