本年度は、本研究課題に関する初年度であったため、従来の研究成果を踏まえ、本邦における現地調査研究を進めるとともに、国内外の研究協力者と意見交換を行いつつ、本研究課題の問題設定、基本的な研究の方向性についての考え方の調整を図り、それに基づいて大まかな全体像の把握に努めた。主な調査内容は以下の通り。 2010年5月27日~6月2日にかけて、北海道の札幌・苫小牧・寿都・函館などにおいて、台湾・福建への布教を積極的に行った曹洞宗・真宗大谷派などの宗派を中心に、布教使関連の資料収集を行った。特に植民地統治初期に重要な役割を果たした曹洞宗布教使佐々木珍龍に関する重要な資料を得ることができたことは、本研究の進展に大きな意義があった。また、2010年10月7日~16目にかけて、中華民国の仏教政策に関する史料収集の方向性を確定するため、中国から研究協力者(王鍵・中国社会科学院近代史研究所研究員)を本邦に招聘し、岩手、東京等で共同して国内の資料収集を行いつつ、意見交換を行った。北京の中国社会科学院を中心に中華民国期の仏教政策関連史料所蔵に関する理解を深め、次年度以降の中国における現地資料調査の精緻化に有益な議論ができた。 2011年3月には、台湾の仏教史研究者と意見交換を行い、本年度の総括を行うとともに、次年度の計画を検討し作成した。
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