第一に、2010年6~7月・9月に内蒙古東部赤峰地区・通遼地区の博物館相当施設において資料調査を行った。陶器や工具などの自用品に重点を置き、発掘担当者と直接懇談することによって、詳細な情報を獲得した。可能な資料については、写真を撮影した。収集した資料について編号・名称・出土地点(伝世品の場合はその旨)・法量・推定年代を基本的な見出し項目とした目録を作成し、デジタル資料化した。あわせて、各博物館の公刊物を収集した。 第二に、公刊されている考古学的資料の関連情報を整理した。とくに、鮮卑については、2010年11月に孫海他編『東胡、烏桓、鮮卑研究集成』(中州古籍出版社)が公刊された。総9662頁に及ぶ資料集成であり、従来入手困難であった論文・報告書が多数収録されており、これを参照して全面的な整理を進めつつある。 第三に、鮮卑・契丹に関する諸文献の史料学的分析を進めた。「後漢書三国志鮮卑伝疏証」「烏桓史研究序説」に続き、本年度は「魏書序紀考証」「遼史世表疏証」を公刊した。 第四に、韓国学界との交流を進めた。2010年8~9月に韓国国立中央博物館で北方民族関係資料の調査を行い、2010年10~11月には、檀國大学校北方文化研究所の招聘を承けて国際学会「契丹-歴史-文化」に参加し、「契丹八部考」の題目で基調講演を行った。
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