研究課題/領域番号 |
22520713
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉本 道雅 京都大学, 文学研究科, 教授 (70201069)
|
研究分担者 |
吉本 智慧子 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (70331105)
|
キーワード | 鮮卑 / 契丹 / 内蒙古 / 遼寧 / 出土資料 / 赤峰 / 通遼 / 朝陽 |
研究概要 |
第一に、昨年度に引き続き2011年8~9月・2012年3月に内蒙古東部赤峰地区・通遼地区の博物館相当施設において資料調査を行った。陶器や工具などの日用品に重点を置き、発掘担当者と直接懇談することによって、詳細な情報を獲得した。可能な資料については、写真を撮影した。収集した資料について編号・名称・出土地点(伝世品の場合はその旨)・法量・推定年代を基本的な見出し項目とした目録を作成し、デジタル資料化した。あわせて、各博物館の公刊物を収集した。 また2011年8月には吉林省文物考古研究所を、9月には遼寧省博物館を訪問し、幹部職員と懇談するとともに、資料収集を行った。 第二に、昨年度に引き続き公刊されている考古学的資料の関連情報を整理した。とくに、鮮卑については、2010年11月に孫海他編『東胡、烏桓、鮮卑研究集成』(中州古籍出版社)が公刊された。総9662頁に及ぶ資料集成であり、従来入手困難であった論文・報告書が多数収録されており、これを参照して全面的な整理を進めつつある。 第三に、鮮卑・契丹に関する諸文献の史料学的分析を進めた。その成果の一環として、2011年9月に『韓半島より眺めた契丹・女真』を、2012年3月に「契丹國志疏證」を公刊した。 第四に、中国学界との交流を進めた。2011年8月に、吉林大学主催の「遼金史国際学術研討会」に招聘され、「契丹紀年考」の題目で講演し、9月に遼寧省博物館主催の「遼金歴史与考古国際学術研討会」に招聘され、「遼史地理志東京遼陽府条小考」の題目で講演した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の実施計画は大きく(1)現地調査、(2)公刊されている考古学的資料の整理、(3)文献研究、の三分野に分かれている。(1)(2)については、なお補充的作業を継続する必要はあるものの、基本的な作業は完了している。(3)については、『遼史』世表の記述内容である10世紀以前を対象とする予定作業をすでに完了し、12~14世紀の文献である『遼史』のその他の部分や『契丹國志』にも研究対象を拡大している。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、本研究課題の最終年度に当たるので、研究成果報告書の作成につとめる。報告書は研究篇と資料篇に二分し、研究篇は、(1)先行研究の批判的総括、(2)文献資料の史料学的分析、(3)考古学的資料の検討、(4)鮮卑・契丹史の通時的記述を主要な内容とする。資料篇は、構築済みのデータベースに基づき、収集した資料の写真および関連情報を掲載するものとする。
|