平成24年度は、最終的な補充作業として中国内蒙古自治区における資料調査を行うとともに、研究成果報告書を作成した。報告書の研究篇は、「東胡系諸民族関係史料の研究」と題し、以下の11篇の論文を収めた。 〈第一章 東胡考〉〈第二章 烏桓史研究序説〉〈第三章 後漢書三国志鮮卑伝疏証〉〈附論一 粛慎考〉〈附論二 ワイ貊考〉〈附論三 後漢書東夷列伝疏証〉〈第四章 魏書序記考証〉〈第五章 遼史世表疏証〉〈附論四 遼史地理志東京遼陽府条小考─10 ~14世紀における遼東歴史地理認識─〉〈附論五 契丹国志疏証 〉〈附論六 満洲源流考研究序説〉〈引用文献〉。 〈第一章〉~〈第五章〉はそれぞれ、東胡・烏桓・鮮卑・拓跋・契丹について、①先行研究の批判的総括、②文献資料の史料学的分析、③考古学的資料の検討を行ったもので、全体として、東胡系民族の通時的記述をなしており、本研究課題の所期の目的を達成するものである。
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