1加耶諸国の実態について追究した。踏査成果および近年の発掘成果をもとに、王宮を中心とする諸国の景観を復元的に考察した。 2多羅国について検討した。多羅国の領域を再検討し、大加耶連盟の中での多羅国の地理的位置と政治的位相を考察した。大きな領域を擁した多羅国ではあったが、大加耶と新羅とを結ぶ結節点に位置することがその政治的位相を規定した。 3比自伐国について検討した。現在の中心地よりも南に大きな古墳群を残す別の勢力があり、それを下に従えた比自伐国を措定し、その新羅編入に至るまでの政治過程を追究した。 4いわゆる「任那の官家」および「任那四県」について再考した。ともに『日本書紀』にのみあらわれることがらであり、『日本書紀』においてどのように構成されているかを検討した。それをもとに、わたしの旧説を補完し、また「任那支配論」についても改めて否定した。
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