近代インドにおいて際立った政治性を帯びた商品、特に、マッチ、装身具(特にガラス製)、タバコ(特にビーディーと呼ばれる在来型)などの特定の軽工業製品を取り上げて、その流通と消費の文脈を重点的に研究することにより、そうした商品に結びついて表象されたナショナリズムやジェンダー、経済的な競合・階層などの政治・社会的な動態を捉える試みをおこなった。特に、近代西欧や日本で製造技術や商品の開発が進んでインドへの輸入品であった商品に、デザインや外装などの面で独自のアレンジが施されて、インドの社会編成とその変動に対応した「在地化」も伴う国産品化とその消費が生じた過程を、具体的に検証することが出来た。
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