本年度の研究目的は、第1に、第二次世界大戦期における中国人留学生を含むアメリカ華僑の抗日活動実態と対中支援を解明する。第2に、従来からの日本、台湾、朝鮮、南洋の華僑研究を深化させ、『戦争と華僑』前編として出版する。第3に、福健、広東と並ぶ華僑出身地である日本軍占領下の海南島に関する新史料の発見に努め、調査収集する。 本年度の計画は、以下の通りほぼ完遂した。 (1) アメリカ華僑に関してアメリカで収集した史料、及び日本国内、中国各大学、史料館所蔵の史料で補強し、雑誌論文「戦時期におけるアメリカ華僑の動態と特質」、京大人文研での講演「アジア・太平洋戦争時期におけるアメリカ華僑の動態と特質」として発表。 (2) 従来からの華僑研究(私の華僑研究の半分に相当)は新たな視点から新史料で補充、推敲し、専門書『戦争と華僑-日本・国民政府公館・傀儡政権・華僑間の政治力学-』前編(汲古書院)として出版。本書は、当該研究に一石を投じたものと、自負している。 (3) 戦時期を考える際、重要な海南島(日本軍に占領)華僑の動態はほとんど研究がない。私は中国海南省に行き、海南大学、海南師範大学、省档案館などで史料を調査、収集した。海外旅費はこれに充てた。 (4) 文化センター・アリラン梶原文庫等、国会図書館、及び神田神保町で戦時・華僑関連書籍を探した(東洋文庫も行く予定であったが、改修中)。国内旅費はこれに充てた。 (5) 戦時・華僑関連の図書・新聞を購入した。物品費はこれに充てた。 (6) 現在、次年度の論文作成のためにカナダ華僑の入手史料の整理、分析を開始している。
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