本年度は、研究計画および課題にしたがい、昨年度に引き続き①朝鮮にかかわる「総動員計画」の資料分析、②「朝鮮駐屯日本軍の総動員体制における役割」の資料収集および分析を行った。また、前年度に引き続き東京・札幌などで資料収集、聞き取り調査、研究発表を行った。 ①については、昨年に引き続きデータ整理した資料を分析し、「総動員計画」の中心となる「物資動員計画」「生産力拡充計画」「労務動員計画」「資金動員計画」の朝鮮への配当・割当や、朝鮮における「総動員計画」策定過程や実績などについて分析した。②については、昨年度にひきつづき、関連する資料収集を行った。特に軍の「総動員計画」に関わる文書や、在郷軍人会関連の資料が中心となった。 また、関連する研究報告としては、「韓国における戦時期研究の現況」(於第5回「戦時期朝鮮社会の諸相」研究会、京都大学人文科学研究所、10月29日)、「朝鮮における帝国在郷軍人会」(於サハリン・樺太史研究会第22回例会「植民地社会の比較史」、8月19日)、関連書籍の書評などを行った。なお、昨年執筆した「朝鮮における帝国在郷軍人会」が収録された書籍(松田利彦ほか編『地域社会から見る帝国日本と植民地―朝鮮・台湾・満洲』思文閣出版、2013年3月)が刊行された。
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